まずおこなうこと!
野外活動では、火を取り扱う場面があります。いくら、注意していても火傷は起こしてしまいます。
カセットコンロや花火、キャンプファイヤーなどで大火災というような事故を起こさないためにも十分な注意は必要ですが、子どもたちの自立を見守ることも大事です。
- まずは、患部をしっかり冷やします。
- 冷やすことで皮膚深部への熱の伝達を防ぐ。
- 冷やすと痛みも軽くなる。
- 流水や氷などを利用して冷やす。
- 20分から30分間以上、痛みがなくなるのを目途に冷やす。
エピソード
夏の陽が傾き始め、キャンプ場に心地よい風が吹き抜ける頃、小学4年生の紬ちゃん(仮名)は、30人ほどのキャンプ参加者の子どもたちが5から6人くらいのグループに分かれて、カセットコンロを使って焼きマシュマロを楽しんでいました。夕暮れの空はまるで一枚の絵画のように美しく、笑い声が絶えないその場には、無邪気で平和な楽しさが広がっていました。
そんな楽しい夕暮れ、紬ちゃんがマシュマロを焦がさないように火にかざしていたとき、よそ見をしてバランスを崩して手を火に近づけすぎてしまいました。「あつい!」と叫び声をあげた紬ちゃんの親指と人差し指の先は赤くなっていました。
その声を聞いてすぐにキャンプボランティアのお姉さんが、紬ちゃんの手をそっと握り、優しい声で話しかけました。「紬ちゃん、大丈夫よ。ちょっとびっくりしたね。さぁ、すぐに手を冷やそうね。」
キャンプボランティアのお姉さんは素早く水場へと連れて行き、流水で紬ちゃんの手を冷やし始めました。「冷たいかもしれないけど、しっかり冷やすことが大事なんだよ」と説明しながら紬ちゃんの手を冷やし続け、同時にキャンプナースに報告しました。
駆けつけたキャンプナースは、紬ちゃんに「痛みはどう?少しは楽になった?」と尋ねると、紬ちゃんは「うん、少しよくなった」と答えました。キャンプナースは微笑みながら、「熱かったでしょ。でもすぐに冷やしたことはすごくよかったよ。これからも気を付けてね。もしも、紬ちゃんより小さい子が同じようなことになったらしっかりと冷やしてあげてね」と伝えました。紬ちゃんは「知ってるよ~」と言いました。紬ちゃんの親指と人差し指の先は、赤くなっているものの水疱を形成することはありませんでした。
その後、紬ちゃんはみんなと一緒にキャンプファイヤーの周りで過ごしていました。紬ちゃんは火の取り扱いに「怖さ」を感じている様子はありませんでした。キャンプナースは、子どもたちの自立を見守りながら、キャンプボランティアのファーストエイドの大切さを改めて感じました。
すっかり夜が更けて星が輝くなか、紬ちゃんは友達と笑顔で再び調理場で就寝前の歯磨きをしていました。今回の出来事を通じて彼女は火の危険性を学び、同時に大切なキャンプの思い出も作ることができました。
キャンプボランティアのお姉さんは、「子どもたちが安全に楽しむために、これからも見守り続けよう」と決意を新たにしました。彼女の夢は小学校の先生になることです。子どもたちが「失敗から学ぶ教育」をしたいと語ってくれました。
児玉善子
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