感染性胃腸炎は、病原性大腸菌やサルモネラなどの細菌、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス等により起こる胃腸炎の総称です。例年11月上旬から増加し始め、12月をピークに一旦減少しますが、1月~3月ごろに再び増加する傾向にあります。12月のピークはノロウイルス、春のピークはロタウイルスによるものとされ、冬場に流行する感染性胃腸炎のほとんどは、ウイルス性のものが多いとされています。

感染性胃腸炎の予防

  1. 手洗い:
    • 食事前、トイレ後、動物と接触した後など、流水と石けんで手を洗う。
  2. 食品・飲料の管理:食品は十分に加熱し、生食を避ける。特に肉類、魚介類、卵はよく加熱する。ダッジオーブンで使用する肉類は、中心温度85度から90度で90秒以上加熱が目安。
  3. 個人の衛生管理:
    • 食事の準備や食器の洗浄においても清潔を保つ。調理器具や食器は適切に洗浄し、乾燥させる。
  4. 環境の整備:
    • トイレの清潔を保つよう協力し合って使用する。
    • ゴミの管理を徹底し、食べ物の残りやゴミは適切に処理する。

感染性胃腸炎の症状

  1. 初期症状:
    • 嘔吐 下痢 腹痛 発熱
  2. 重症化した場合の症状:
    • 脱水症状(口渇、尿量減少、皮膚の乾燥)  意識障害や極度の疲労感

感染性胃腸炎の対応

  1. 初期対応:
    • 水分補給を徹底し、特に電解質を含む飲料(ORS:経口補水塩)を使用する。
    • 嘔吐や下痢が続く場合は、少量ずつ頻繁に水分を摂取する。
  2. 医療機関への相談:
    • 高熱が続く、または脱水症状が見られる場合は早急に医療機関を受診。
  3. 集団感染防止:
    • 症状のある子どもを隔離し、使用したトイレや調理器具は消毒する。
    • 手洗いや消毒を徹底し、感染拡大を防ぐ。
    • 症状のある子供が増えていないかを確認する。
    • 便や嘔吐物を適切に処理する。⇒ 便や嘔吐物を処理する際には、使い捨ての手袋・マスク・ガウン等(ビニールのボミ袋で代用)を着用する。汚染した床は、乾燥させないよう速やかに次亜塩素酸ナトリウム(1,000ppm=0.1パーセント)で、汚染場所の外側から中心に向かって浸すように拭くなど汚染を広げないよう注意して処理する。

参考:厚生労働省 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/34676.pdf

エピソード

クリスマスが近づいていた冬のキャンプ場。キャンプ場では子どもたちが元気に遊んでいました。今日は1日だけの野外活動の日です。寒さに負けず自然の中で友達と過ごす楽しい時間です。

ところが、小学校4年生の湊斗くん(仮名)が急にお腹が痛くなり、下痢2回、嘔吐が1回ありました。嘔吐があった時点で湊斗くんはキャンプボランティアのお兄さんに連れられてキャンプナースのところに来ました。キャンプナースは蒼白い顔をした湊斗くんに「大丈夫?ちょっと横になって休もうか」と声をかけました。

キャンプナースは湊斗くんの症状から感染性胃腸炎の可能性を考えました。すぐに手袋とマスクを着用し、ポリ袋をエプロン代わりにして、嘔吐物を片づけました。今日、子どもたちが食べたお昼ごはんは特に問題はなかったはず・・・・キャンプナースは湊斗くんに「お家の人で誰か湊斗くんみたいにゲロした人いる?」と尋ねました。湊斗くんははっとした顔をして「あかりちゃん(妹・仮名)が、夜中にゲロしてた」と言いました。「あかりちゃん、下痢もしてたかな?」「うん、パパが病院に連れて行って、僕はおなか痛くなかったからママと一緒にここに来た」と話してくれました。湊斗くんは発熱はありませんでした。

キャンプナースは、感染源が妹のあかりちゃんからである可能性が高いと考えました。ノロウイルスのような感染性胃腸炎は潜伏期間は24~48時間あり、非常に感染力が強くキャンプ全体への拡大を防ぐためには迅速な対応が必要です。キャンプナースは家庭用漂白剤を取り出し、嘔吐物があった場所に散布し拭き取りました。また、キャンプナースは他のスタッフに湊斗くんの症状とあかりちゃんの症状について説明しました。さらに、保護者の携帯電話に湊斗くんの症状を説明し、あかりちゃんの様子を伺いました。あかりちゃんは、下痢、嘔吐があり病院に受診したところノロウイルスではないと診断されたそうです。

その後、「今、お腹が痛い人いるかな?」と声をかけると、子どもたちは「痛くなーい」と口々に言いました。みんな活気にあふれていました。

湊斗くんは、救護室で様子を見ることになりました。少量ずつ水分をとっても下痢をすることはなく嘔吐もありませんでした。いろいろとお話をすることができました。外は寒く、みんなと一緒に遊ぶまで元気になることはなかったのですが、お母さんがお迎えに来る時間まで救護室の中でクリスマスツリーの飾りを創って楽しみました。

感染性胃腸炎が発生した際の迅速な対応と徹底した予防策により、他の子どもたちへの感染を防ぎ、楽しいキャンプ体験を守ることができました。ただ、家族に小さなきょうだいがいた場合、きょうだいに下痢や嘔吐の症状、あるいは発熱などの風邪症状があるかどうか、事前に聞いておくべきだったと後悔しました。

冬のキャンプ、風邪や感染性の胃腸炎が、参加している子どもたちばかりでなく、スタッフにも感染する可能性があります。予防策はもちろんのこと、身の回りに感染が疑わしい人がいるかどうか確認することが必要でした。さらに言えば、保護者の方が下痢や嘔吐の症状について、きょうだいで感染する可能性があるので申し出をするか、自主的に参加を取りやめるかの判断ができるような知識を身につけることも重要であると考えさせられた経験でした。

児玉善子