野外活動中に子どもが誤嚥や窒息の予防をするのはもちろんのことです。しかし、みんなで食べる食事はとても楽しく、ついつい早く食べてしまったり、お話しながら食べたりしているので誤嚥や窒息を起こすことがあります。迅速かつ適切な対応が必要です。

誤嚥の場面と対応策

誤嚥とは

誤嚥とは、食べ物や飲み物、異物が誤って気管に入ってしまうことです。野外活動中には、食事中や遊んでいる際に発生することがあります。

誤嚥の場面

  • 子どもが食事中に咳き込み始める。
  • 突然話し方が変わったり、呼吸が困難そうに見える。
  • 笑いながら食べ物を口に入れているときにむせる。

対応策

  1. 咳を促す: まだ咳をしている場合は、咳をさせ続ける。咳は自然な防御反応であり、異物を排出する助けになる。
  2. 姿勢の確認: 子どもを前かがみにして、頭を下に向けるようにする。これにより、重力を利用して異物が出やすくなる。
  3. 呼吸の確認: 咳が止まり、呼吸が困難になった場合は直ちに次の窒息対応をおこなう。

窒息の場面と対応策

窒息とは

窒息は、気道が完全に塞がれて呼吸ができなくなる状態。これは非常に危険な状態であり、迅速な対応が求められる。

窒息の場面

  • 子どもが突然無音になり、咳もできない。
  • 顔色が青白くなる。
  • 息を吸い込むことができず、手で喉を押さえて苦しそうにしている。

対応策

  1. バックブロー(背部叩打法):
    • 子どもを前かがみにし、指で子どもの顎を支え頭側を低くなるようにする。 手の付け根付近で、子どもの左右の肩甲骨の間を数回、すばやく強くたたく。
  2. ハイムリッヒ法(腹部圧迫法):
    • 子どもの胴体の中間部を囲むように腕を回す。
    • 片手は拳を握り、おへそと胸骨の下端に突出する突起の中間に置く。
    • その拳をもう片方の手でつかむ。
    • 両手を勢いよく後上方に引っ張ることで,上内側への突き上げを行う。
    • 突き上げを必要に応じて迅速に6~10回行う。
  3. 気を付けること
    • ハイムリッヒ法は、肋骨損傷または骨折や内臓損傷の合併症を起こす可能性があるので、ハイムリッヒ法をおこない窒息が改善したとしても病院を受診しておく。
  4. 繰り返し:
    • 背部叩打法と腹部圧迫法を繰り返す。
  5. 心肺蘇生(CPR):
    • 子どもが意識を失った場合、直ちに心肺蘇生を開始する。胸骨圧迫と人工呼吸を行いながら、救急隊の到着を待つ。

事前の準備と教育

  • 教育: 子どもたちに食事中の楽しさを続けるために、誤嚥や窒息を防ぐための基本的な知識を伝えておく。
  • 観察: 食事中に遊びだしたり、大笑いしている子どもたちを叱るのではなく注意深く観察し、そのうえでリスクを最小限にできるよう声かけをする。
  • 応急処置訓練: 指導者や保護者が応急処置法を習得し、万が一の際に迅速に対応できるようにしておく。

参考HP:MSDマニュアルについて

投稿者プロフィール

児玉善子(看護師)
児玉善子(看護師)
一般社団法人看護教育支援協会 代表理事