1. 安全確保
蜂がまだ近くにいる場合、刺された場所から子どもを安全な場所へ移動させます。
蜂(とくにスズメバチ)を見つけたときは、近くに巣がある可能性があります。近寄らないようにしましょう!小さい子どもには「蜂さんのお庭なんだね~勝手にお庭に入ると蜂さんがびっくりするかもね」などと落ち着いてお話をして、慌てずにその場を離れましょう。
ハイキングコースの下見のときはなかったけれど、子どもたちと歩いているときには、巣ができていた!ということもあります。怖がらせるのではなく、動物や虫といった自然の生き物と共存していくために大切なことを理解してもらえる機会になるといいですね!
引用:みんなの蜂駆除屋さん
2. 刺された場所を確認
蜂の針が皮膚に残っているか確認し、残っている場合は以下の方法で取り除きます。
- 針の除去: ピンセットや爪で針を慎重に取り除きます。押し出すようにするのではなく、引っかけて引き抜くようにします。ポイズンリーバーを持参している場合は活用してください。口に吸って針や毒を取り除こうとしてはいけません!
3. 洗浄と冷却
刺された場所をきれいに洗浄し、腫れや痛みを和らげるために冷やします。
- 洗浄: 刺された場所を水でよく洗います。毒を絞り出すように洗います。
- 冷却: 氷をタオルで包んで刺された場所に当て、15分程度冷やします。氷がなければ流水で冷やしてもかまいません。
4. 痛みと腫れの軽減
痛みや腫れを軽減するために、適切な処置を行います。
- 抗ヒスタミン薬: 痛みやかゆみを和らげるために、適切な年齢用の抗ヒスタミン薬(クリームや飲み薬)を使用します。使用前に医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
5. アレルギー反応の観察!
蜂刺され後にアレルギー反応が出ることがあります。以下の症状が現れた場合は、直ちに医療機関に連絡し緊急対応を行います。
- 呼吸困難
- 顔や唇、舌の腫れ
- 全身の発疹やじんましん
- めまい、意識の混濁
6. 追加の注意点
子どもが蜂に刺された場合、以下の追加の注意点も考慮します。
- 過去にアレルギー反応があった場合: 子どもが以前に蜂刺されでアレルギー反応を起こしたことがある場合、常にエピペン®(アドレナリン自己注射器)を携帯している場合があります。使用方法を理解しておき正しく使用しましょう。エピペン®は、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和する薬です。使用した際は必ず救急車を呼ぶこととされています。
- 複数箇所の刺傷: 複数回刺された場合は、特に注意が必要です。大量の毒が体内に入るため、重篤な反応が起こる可能性があります。慌てずに、救急車を呼ぶようにしましょう。何人の子どもが蜂に刺されたのか、何か所刺されたのか把握し、救急隊に報告しましょう。
まとめ
蜂に刺された場合の対処方法を事前に知っておくことで、迅速かつ適切な対応が可能になります。安全な環境で冷静に対処し、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。野外活動を行う際には、事前に蜂のいる環境についても注意を払うことも大切です。参加するメンバーの年齢や健康状態に応じることも必要です。しかし、野外活動は、このようなリスクがあることを学べる機会です。
すべてのリスクを排除した中での野外活動というのは、子どもたちから学ぶ機会を奪っているかもしれません。
エピソード
梅雨が明け、よく晴れた夏。キャンプ場は子どもたちの笑い声で溢れていました。小学3年生の大樹くん(仮名)もその一人で、友達と一緒に自然の中での冒険を楽しんでいました。そんななか、突然、大樹くんは「痛い!」と叫び腕を抑えました。蜂に刺されたのです。
たまたま、巡回中のキャンプナースが駆け寄り、冷静に大樹くんを落ち着かせ、刺された場所を確認しました。幸いにも蜂の針がまだ皮膚に残っているのが見えました。キャンプナースは、救急セットからピンセットを取り出し、大樹くんに「少し我慢してね」と声をかけながら慎重に針を取り除きました。ポイズンリーバーも持参していましたが、ピンセットで抜けると判断できました。
また、蜂がぶんぶんと飛び回っている場所でもなく、スズメバチのような大きな蜂がいるような場所ではありませんでした。
次に、キャンプナースは流し場に大樹君を連れていき刺されたところを洗浄しました。その後、氷をタオルで包み、大樹くんの腕に当てて15分間冷やしました。これにより、腫れと痛みを和らげることができました。冷却している間に、大樹くんの様子を注意深く観察し、アレルギー反応の兆候がないか確認しました。呼吸困難や顔の腫れ、全身の発疹がないかを見守り、大樹くんに「気分はどう?」と尋ねました。「大丈夫。ちょっと痛いけど。蜂に刺されたのは初めて!蜂がいるってわからんかった!」と話してくれました。
幸いにも、大樹くんは過去にアレルギー反応を起こしたことはなく、複数箇所の刺傷がないかを確認しました。ほかのスタッフと情報を共有し、遊んでいる子どもたちにも注意を払うように伝えてもらいました。
大樹くんを心配して来てくれた大学生ボランティアのお兄さんは、「蜂は自然の一部だから、驚かせないようにしようね」と伝えてくれました。大樹くんも「うん、巣あるんかな~、卵産んでるんかな~」といろいろ関心を持っていました。
この経験を通じて、子どもたちは蜂に刺された場合の対処方法を学び、安全に楽しく自然を楽しむための知識を得ることができました。大樹くんの保護者にも連絡をしましたが、「本人が元気であること」を理由にキャンプの続行を希望しました。大樹くんは、再び元気にキャンプを楽しむことができました。
児玉善子
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