設立の背景

私は看護師をしているとき、患者さんが転倒すると危ないので「車椅子でリハビリ室まで行きましょう」と声をかけていました。看護教員をしているとき「看護師国家試験に出るから勉強しておきましょう」と声をかけていました。これらの声かけは、看護でも教育でもなく、ただの「おせっかい」でした。子どもたちに「転ぶから走っちゃだめよ」「危ないから包丁は使わないで」と言っていませんか。確かに危険なものや危険な環境から自分の身を守ることを教えることは大事です。しかし、小さな失敗を繰り返しながら学んでいくという過程を見守ることも大事だと思っています。

その反面、たとえ小さなケガであっても、些細な身体の不調の訴えであっても、初期対応を間違えると大きな問題に発展することも事実です。

これらは、私が看護の現場や教育の現場で何度も繰り返した失敗から学んだことでした。

子どもたちがよりに健康に、のびのびと生き生きと成長していく環境を整えるという大人としての役割を果たせる社会をつくりたいという思いで設立しました。

キャンプナースとは?

キャンプナースとは、子どもたちがキャンプ活動をはじめとする体験型野外活動、集団活動を安全・安心に遂行できるよう支援する看護の実践者のことです。(キャンプナース 商標登録 区分41・44申請中)

看護師の資格以外に特別な資格があるわけではありません。

子どもの健やかな成長を応援したい人ならだれでも2日間の講習を受けることで、「キャンプナース」として活動することができます。ただし、子どもの野外活動に関して、知識を持っているので学び直しが必要ないという方はすぐに登録をしてください。また、必要と思う講座を受けてください。

登録初年次のみ7,000円(登録料)、その後年会費を支払う必要はありません。「キャンプナース」として仕事の依頼を受けるばかりでなく、自ら仕事を生み出すことができます。

例1)ボランティアで地域の子どもたちのバレーボールコーチをしていた看護師さん、「キャンプナースの講習修了しています」を生かして、保護者の皆さんのニードに応じた「子どもの健康生活」の講座を開いてみた!

例2)サイドビジネスとして、「キャンプナース」を生かした子どもの暮らし支援を企画してみた!

年に1回、「キャンプナース研修会」を開催します。皆さんの実践報告会と情報交換会です。全員参加型研修会です。

2025年3月、日本キャンプ協会が主催するキャンプインストラクターの資格を取る講座を予定しています。

第1回 キャンプナース交流セッション実践報告

キャンプナース文献レビュー経過報告

四條畷学園大学の佐藤寿哲準教授による「キャンプナース文献レビュー経過報告」では、これまでの研究や文献に基づいたキャンプナースの現状が整理されました。

どのように対応するべきかという実践的な内容、やりがいと課題、キャンプナースのデータベースの作成、教育キャンプの現状など、欧米諸国の論文の整理の経過報告がおこなわれました。

キャンプナーの実践報告: 判断困難事例と対応

佐藤准教授による「キャンプナーの実践報告」では、判断が困難な事例に対する対応策が具体的に示されました。 参加者にとって貴重な情報源となりました。

キャンプ中の性被害の事例や予防方法などを話し合う機会となりました。

キャンプナースの役割

小児看護専門看護師の渡邊氏は、キャンプナースが果たすべき役割について発表しました。渡邊氏は、豊富な経験をもとに、「キャンプナース」は、状況のアセスメントに悩むことも多々ありますが、経過をおって、フィードバックを得ることで自身のケアの質を高めていく工夫をされているとのことでした。キャンプナースとしての「人間関係づくり」「場づくり」「見守り」「スキルアップ」の大切さを再認識させられました。

5回のドイツ国際平和村でのボランティア経験という実績も刺激的な情報でした。

キャンプナースの変遷と活動意義

特定非営利活動法人ナックの副代表理事である赤木功氏から「キャンプナースの変遷と活動意義」についてお話がありました。 赤木氏は、キャンプナースの歴史的な背景と、その役割がどのように進化してきたか、青少年教育の現場におけるキャンプナースの重要性を強調されました。

会場からは、障害児キャンプの運営に関する質問、キャンプナースによる配薬と自己管理の考え方など、多様な質問があり大変興味深い講演であったことがうかがえました。早速、11月のキャンプナースの依頼があり、会場からキャンプナースとして志願してくれました。

キャンプナーのビジョン〜青少年に主体的な学びを

最後に、私(児玉)は「キャンプナーのビジョン」について話しました。今までの経験を活かし、キャンプナース実習というものができないかと提案しました。キャンプナース実習に賛同してくれつつも、課題やデメリットへの対応を話し合う機会となりました。

キャンプナースの活動内容

キャンプナースはキャンプ活動をはじめとする体験型野外活動、集団活動(以下、野外活動と述べます)の参加者や運営スタッフが安全かつ健康を保てるように環境を整え、事故やケガ、様々な症状の出現に対し、予防、早期発見、早期対応に努める役割があります。また、慢性的な疾患、障がいのある子どもへと個別的なケアを行います。

  • 緊急時対応
    • ケガや急病に対する応急措置の提供する。
    • 必要に応じて適切な医療施設への搬送を調整する。
  • 医薬品の管理
    • 保護者から預かった内服薬の安全な保管と管理をする。
    • 指示に応じた薬を正しく使用することを支援する。
    • キャンプナースの判断で保護者から預かった内服薬以外の医薬品を投与しない。
  • 健康管理とアドバイス
    • キャンプ参加者の健康状態を観察する。
    • 必要に応じて健康教育を提供する。
    • 慢性的な疾患や障がいのある子どもに対する必要なケアを行う。
  • 健康記録の管理
    • キャンプ参加者の健康情報を記録し共有する。
    • 必要に応じて健康状態に関連する情報を他の運営スタッフと共有する。
  • コミュニケーション
    • 保護者や他の医療機関と連絡を取り、必要に応じて情報を共有する。
    • 野外活動の運営スタッフと連携して、参加者の健康と安全を支援する。
    • 野外活動中、必要に応じて、運営スタッフや参加者の相談に対応する。
  • 感染症の予防と管理
    • 手洗いやうがいなどの基本的な予防策ができているか確認する。
    • キャンプ施設の清潔と衛生的な環境を確保する。
  • 心理的なサポート
    • キャンプ参加者が感じる集団になじめない、人間関係のトラブルなどに対し運営スタッフとともに対応を協議し、必要に応じて直接的ケアを行う。
    • 必要に応じて心理的なサポートをする。(ホームシック・夜尿症など)
  • キャンプナースは、医療の専門知識とともに、協力的で柔軟なアプローチを持ち、多様な状況に対応できる能力が求められます。また、参加者たちと良好な関係を築く能力も重要です。

投稿者プロフィール

児玉善子(看護師)
児玉善子(看護師)
一般社団法人看護教育支援協会 代表理事